安曇野の雑木林の中に建つ石積みの小さな絵本美術館
安曇野の雑木林の中に建つ石積みの小さな絵本美術館

安曇野絵本館

北アルプスの麓、長野県安曇野市穂高有明の雑木林の中に、石を積み上げて造られた小さな美術館がありました。安曇野絵本館 — 絵本の原画を専門に展示するこの私設美術館は、1997年頃の開館から約20年にわたり、国内外の絵本作家の原画展を開き続け、絵本を愛する大人たちの静かな巡礼地であり続けました。このサイトは、安曇野絵本館が歩んだ日々と、ここで開かれた絵本原画展、絵本館を訪れた作家たちとの交流をとどめる記録です。

絵本館プロフィール

絵本の絵を子供の領域から解放する場として、大人になってしまった人たちが曾て子供だったことを再認識する場として、静かで落ち着ける空間を提供したいと創られました。

主に、海外の作家の作品(原画)を中心に展示し、関連書・版画・グッズ、ポスター・ポストカードと工芸品の販売もおこなっていました。喫茶室ではサービス(入館料に含む)として、季節によって数種の中から飲み物を選ぶことができました。静かに過ごしていただくための空間づくりが徹底されており、館内はいつも、ページをめくる音さえ聞こえそうな穏やかさに包まれていました。

森を望む絵本館の喫茶室の窓辺
森を望む絵本館の喫茶室の窓辺

石積みの小さな美術館 — 絵本館のあゆみ

絵本館の建物は、館主夫妻が長い歳月をかけて自らの手で石を積み上げて築いたものです。コンクリート造りの美術館にはない、手仕事のぬくもりと石のひんやりとした静けさが同居する空間は、それ自体がひとつの作品でした。窓の外には安曇野の雑木林が広がり、季節ごとに移ろう光が、壁に掛けられた原画をやわらかく照らしていました。

開館以来、リスベート・ツヴェルガーをはじめとする海外作家の原画展を軸に、高畠純さん、やぎたみこさんといった日本の絵本作家の展覧会も開催し、2017年には創立20周年を迎える節目を控えていました。美術館は2010年代の終わりに静かにその扉を閉じましたが、石積みの展示室で原画と向き合った時間の記憶は、いまも多くの来館者の中に生き続けています。

開催された絵本原画展

記録に残る主な絵本原画展です。それぞれの詳しい記録は絵本原画展のページにまとめています。

絵本館に来られた作家

会期中には、作家ご本人が絵本館を訪ねてくださることもありました。テラスで、喫茶室で交わされた語らいの記録です。

当時の利用案内(記録)

  • 入館料:700円(ドリンク付き)
  • 開館時間:9:30〜17:30(4月〜10月)/10:00〜17:00(11月〜3月)
  • 休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)。ゴールデンウィーク・夏の大型連休は無休、冬期(1・2月)は土・日・祝日のみ開館
  • 団体:約20名さままで

※安曇野絵本館はすでに閉館しています。上記は開館当時の案内を記録として残したものです。絵本館があった場所と周辺の情報はアクセスのページをご覧ください。

安曇野と絵本の文化

安曇野は、絵本にゆかりの深い土地です。いわさきちひろの作品を収蔵する安曇野ちひろ美術館をはじめ、絵本美術館や個人ギャラリーが点在し、それらを結ぶ安曇野アートラインという取り組みも知られています。安曇野絵本館もまた、その豊かな風土の中で育まれたひとつの灯でした。安曇野を旅する際には、安曇野市公式観光サイトもあわせてご覧ください。