スタシス・エイドリゲビチウス
会期:〜2014年2月23日(日)まで延長(1・2月は平日休館、土・日・祭日のみ開館)
作家について — スタシス・エイドリゲビチウス
1949年、ポーランドに接したバルト三国のひとつリトアニアのメディニシュキで生まれました。カウナス市美術専門中学を経て、首都のヴィリニュス美術大学を卒業。油絵・テンペラ・グラフィックデザインの各分野で、リトアニアと、文化交流のあるポーランドの両方で活躍してきました(英語版ウィキペディアの項目)。
彼の作品は、シュールレアリストたち、ダリ、キリコ、マグリット、エルンストらのものと近いものがあります。しかし、彼は生命や自身の意識の深層から、インスピレーションを直接に引き出しているという点で彼らと異なります。周囲の世界に強烈に反応して、限りないイメージを生み出している — 仮面のような顔、見つめ返してくる目、どこか懐かしくて少し不穏な世界。絵本の枠におさまらないその表現は、「絵本の絵を子供の領域から解放する」という絵本館の理念に、もっとも深く響き合うものでした。

あわせて展示された画家たち
本展では、スタシスの作品とともに、三人の画家の作品もあわせて展示しました。時代も国も異なる画家たちが、ひとつの展示室で静かに響き合う構成でした。
エロール・ルカイン
1941年シンガポール生まれ。翌年、インドに渡り、戦争が終わるまで暮らす。アジアで少年時代を過ごした後、15歳でイギリスに渡り、アニメーターとして、また絵本画家として活動することになります。1975年に最初の絵本『アーサー王の剣』が出版され、亡くなる1989年までに49冊以上の絵本を手掛けました。1985年に『ハイワサのちいさかったころ』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています(ウィキペディアの項目)。
ルイーズ・ブリアリー
イギリス生まれ。ロンドンの王立美術大学でイラストレーションを7年学び、1983年に卒業。後、パリで2年間過ごします。在学中に1冊、パリ滞在中に1冊を手掛けますが、1986年にイギリスの出版社より『the twelve days of christmas』を出版し、これが本格的なデビュー作となりました。雑誌やポスターのイラストレーションの仕事をしながら、これまで10冊ほどの絵本を手掛けています。子どもの時から小さなものを丹念に見つめることや、絵を描くことが大好きな少女だった彼女は大人になり、絵本という最適な仕事を見つけました。小さな絵をたくさん描いて、それを綴じるという、彼女にピッタリの仕事を。
初山滋
1897年浅草田町に生まれる。児童画家。生涯にわたってひとつの画風に停まることのない自由奔放ぶりで知られます。紫綬褒章を70歳のときに受章。第1回モービル児童文化賞受賞。77歳で死去(ウィキペディアの項目)。大正から昭和へ、日本の童画の歴史そのものを体現した画家の作品が、バルトの画家の隣に並ぶ — 絵本館ならではの展示でした。
冬の絵本館で
本展の会期は冬をまたいで延長され、1・2月は土・日・祭日のみの開館となりました。雪の積もった雑木林の静けさの中で観るスタシスの深いまなざしの世界は、夏の展覧会とはまったく違う体験でした。ストーブの音だけが聞こえる展示室で、一枚の絵と長く向き合った来館者も多かったはずです。そのほかの展覧会は絵本原画展の記録からご覧いただけます。