高畠 純 絵本原画展

会期:2013年3月20日(水)〜6月24日(月)

作家について — 高畠純(JUN TAKABATAKE)

1948年名古屋市生まれ。愛知教育大学美術科卒。西武美術館版画大賞展、バーゼル国際美術展、ニューヨークアートEXPO展、C.W.A.J.現代版画展などに出品。1983年ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。2004年日本絵本賞受賞。2011年第42回講談社出版文化賞絵本賞受賞。絵本作家としてこれまでに200作以上を発表してきました。その歩みはウィキペディアの項目にもまとめられています。

版画家としての出発点を持つ高畠さんの画面には、構図の確かさと、余計なものを削ぎ落とした線の気持ちよさがあります。国際的な版画展への出品歴と、絵本というポピュラーな表現とが地続きになっているところに、この作家の懐の深さがあります。

春の朝の光が差し込む、ユーモラスな原画が並ぶ展示室
春の朝の光が差し込む、ユーモラスな原画が並ぶ展示室

心を柔らかくしてくれるユーモアの世界

1973年のデビュー以来、40年間にわたり、数多くの作品で読者を楽しませ続けてきました。動物の姿を借りて描かれることの多い作品は、ほのぼのとしたイラストと、ユーモアに満ちたストーリーで子供達だけでなく、大人にも笑顔をもたらしてくれます。

文字を追う楽しみだけでなく、描かれているそれぞれのイラストの色や雰囲気、表情など味わいながら『絵本の世界』をお楽しみいただく — それが本展の願いでした。とぼけた顔の動物たちの原画がずらりと並んだ展示室は、会期を通じて、来館者の笑い声がいちばんよく聞こえる場所になりました。

原画でこそ伝わる「間」

高畠作品の魅力は、語りすぎないことにあります。動物たちのすました表情、画面の中の絶妙な余白、ページをめくる手前で一拍おくような「間」。原画を前にすると、その間合いがどれほど緻密な計算と自在な筆さばきの上に成り立っているかがよくわかります。シンプルに見える一枚ほど、近づいて見ると発見がある — 原画展ならではの楽しみを存分に味わえる展覧会でした。

会場の記憶

会期中には、高畠純さんご本人が岐阜のご自宅から奥様とともに絵本館を訪ねてくださいました。テラスが夕暮れに染まるまで語らいが続いたその日のことは、来館の記録に残しています。続く夏の展覧会はやぎたみこ絵本原画展でした。

記録について:安曇野絵本館はすでに閉館しています。本記事は開館当時の記録をとどめたものです。